立駐工発 第213号
平成30年 3月27日
会 員 各 位
公益社団法人 立体駐車場工業会
会長 石丸 寛二
機械式駐車場の安全性確保に向けた取組みの推進について(要請)
時下 ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は当工業会の事業運営につきまして、格段のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、機械式駐車場における一般利用者の重傷・死亡事故は関係各位のご尽力により平成29年度は、現時点では発生していません。その一方、本年3月に入って次に示す機械式駐車場の設備点検、保守点検に係る重傷・死亡事故が相次いで発生しています。
- 不具合発生時の対処方法をメンテナンス業者から教えられていた操作員が装置内に入ったところ、出入口扉が閉まり閉じ込められ、次の利用者の出庫呼び操作にて駐車室に格納され、退出しようとしたときに昇降搬送装置に挟まれ重傷
- 部品交換作業時に作業員が上っていたキャットウォーク用タラップの上端部付近から墜落し重傷
- 清掃作業を行おうとして装置内に立ち入った操作員が、搬器と躯体間の開口部からピット内に墜落し死亡
- 運転手と複数の同乗者が乗車したまま入庫し、運転手が運転席に留まっている状態で操作員が格納操作を行い、閉じ込められた運転手が昇降搬送装置の上昇時に車両ドアを開けたことで格納棚の搬器と衝突し頭部負傷(軽傷であったものの死亡に繋がる可能性があった事故)
当方より、これまで機械式駐車場の安全性確保に向けた取組みの推進につきまして、度重なる要請を致し、皆様のご協力を頂いておりますが、上述のとおりの誠に遺憾な状態となっておりますことから、会員各位におかれましては、機械式駐車場での事故発生防止のため、下記事項の徹底を改めてお願いします。
記
- 機械式駐車場の適切な運用について
保守・点検の結果又は不具合発生時において、安全な運用に支障が生じるおそれがあると判断した場合又は不適切に利用されている状況を確認した場合は、必要な措置を講じると共に速やかに管理者へその旨を伝えることは、保守点検事業者の責任義務であることを認識頂き、保守点検部門への周知を図って頂くようお願いします。
- 管理者、取扱者への正しい使い方の啓発について
機械式駐車場において、人が乗車した状態で車両が駐車室に格納される事象は極めて危険であり、重大な事故が発生する恐れがあることはご存知のとおりであります。取扱者が入庫前に同乗者を降ろす、入庫した車の中・装置内に人がいないことを声掛け確認していれば防ぐことができますので、機械式駐車場の運用状況について今以上に注意していただき機械式駐車場の管理者、取扱者に対し、それぞれの駐車装置に適応した適正な利用方法について周知徹底して頂くようお願いします。
- 機械式駐車場の保守及び工事作業の安全基準の遵守について
当工業会の保守点検事業者、駐車場設置事業者におかれましては、工事中に発生した死亡災害事故を受け、その再発防止として「機械式駐車場保守点検作業安全基準 同解説書」及び「機械式駐車場工事安全基準 同解説書」の業務標準策定に至った経緯はご存知のことと思います。
本基準は、平成28年12月7日付けで厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課長から各都道府県労働局労働基準部安全主務課長宛に業務の参考にされたい旨の通知と併せ配送されており、都道府県労働局・労働基準監督署の業務の参考資料として取扱いを受けることが考えられます。
不安全な行動による労働災害を防止するため、改めて安全の基本ルールを守る重要性についてご理解、ご指導をお願いします。
- 既設の機械式駐車装置の安全確保について
「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」において、既設装置の安全性確保について、製造者、保守点検事業者、設置者、管理者、利用者の関係主体が連携・協働して取組むことを求めています。
機械式駐車装置のリスクを最もよく知る「製造者」「保守点検事業者」である会員各位におかれましては、ガイドラインの内容に準じ、安全確保のために、「設置者」「管理者」へ装置のリスク説明、安全改修提案書の提出、「利用者」への安全な利用方法の説明などの取組みをお願いします。
- 機械式駐車場の事故報告書の提出について
「事故報告書作成・管理基準」に定める報告対象の事故が発生した場合は、速やかに(遅くとも72時間以内に)事故報告様式(第4版)にて当工業会の安全管理委員会事務局に報告をお願いします。
なお、人身事故発生時は事故の重大性により、電話連絡(休日、夜間の場合はFAX又はメールで連絡)をお願いします。
[TEL(03)5542-0733 FAX(03)5542-0735 mail:ritchu@ritchu.or.jp]
以上